ライフデザインセミナー Vol.3 東洋大学

令和元(2019)年10月24日(木)に、第三回目となるライフデザインセミナーを東洋大学「就労支援サービス」(担当教授:工藤啓先生)の授業内で実施しました。

今回のセミナーに参加されたのは、社会福祉学科の大学1~4年生130名です。日本社会の「結婚・子育て」に関わる就労支援のあり方を社会的な視点と現場からの視点で学習した上で、セミナーを受講しました。セミナーでは、ゲスト3名にご登壇いただき、仕事や結婚、子育てなど様々な経験を聞きながら、多様な生き方の選択肢を知り、参加者自らがライフプランについて考える機会としていただきました。

Aさん(女性)
大学4年時から編集者として勤務し、大学院に進学した後に出版社に入社。第一子出産後、地域との結びつきを求め、出版の仕事を続けながらNPO法人にて高齢者・子供・外国人留学生などと食事を交えた交流会に参画。

Bさん(男性)
大学卒業後、公務員の仕事を経験してから、働き方について考えるようになり転職を決意。自らの子育てを通じて、日本の保育に対して課題を感じるようになり、現在は保育園でコミュニティコーディネーターを行なっている。育休を取得して現在は10か月のお子さんの子育て中。

Cさん(女性)
大学卒業後、学童保育や児童養護施設での非常勤職員やボランティアを経て、社会福祉士を取得。2006年に若者のために就労支援などの活動をしているNPOに入職。第二子の子育てをしながら、若者やその保護者との面談を行い、就労訓練のインターン研修先となる企業の開拓を行っている。

■理想の生き方・働き方に合わせて、キャリアを変更

Bさんは、人のために働きたい、という思いから最初のキャリアに国家公務員を選択しました。しかしながら、国家公務員の仕事には、直接住民と接する機会はあまりなく、次第に「もっと人と直接関わりたい」という思いが強まったそうです。また、結婚を約束していた現在のパートナーとの生活や子育てを意識し、理想の家族像を考えるうちに、「もっと柔軟な働き方で、子育てにも力を入れたい」と思うようになったそうです。
どんなキャリアが最適なのか、模索した結果、現在のコミュニティコーディネーターの仕事にたどり着いたと話します。


■子育ては一人でするものではない、周りに助けを求めても良い

Cさんは大学入学前に母親を亡くしたため、妊娠中・出産直後もロールモデルがいない状態で、相談できる人がおらず「子育てはパートナーにも頼らず、自分ひとりで頑張らなくてはいけないものだ」と思い込んでいたそうです。
そんな状況を救ってくれたのは、第一子出産後に参加した地域の子育てサークルの仲間でした。子育てサークルに足を運び、同年代の子を持つメンバーと子供の話をしたり、悩みを共有したりするうちに、「自分だけじゃ無い、一人ではないんだ!」と気づくことができ、精神的な支えが出来たそうです。

復職後は、仕事と子育てのバランスが取れず、とても悩み、苦しい日々が続いたそうです。 そんなCさんを支えてくれたのはパートナーでした。「私の様子に気づき、手を差し伸べてくれたパートナーのおかげでなんとか乗り越えられた」と話します。 その経験を経てCさんは「パートナーと最初から話し合いができなくても、協力しながら、家事の分担方法や、寄り添い方は必ず変えていくことができる。パートナーとともに辛い状況を乗り越えた経験のおかげで第二子の子育ては、第一子の時の心境とは大きく変化し、行政や地域が提供してくれる支援を十分に活用し、存分に楽しむことができました」と強く伝えてくださいました。

Aさんも地域の方から子育てのサポートを受けているそうです。「長い時間子供と二人きりでいると、いつも同じ遊び方になってしまい、何をしていいか煮詰まってしまうことがありました。そこで、近所の高齢者の方と、一緒に食事をするようにしました。高齢者の方にとっても私たちにとっても、新鮮な話が聞けたり、新しい遊び方などを発見できたり、とても素敵な時間になっています。たまに仕事が忙しい時は、小学校のお迎えなどもお願いしていて、とても助かっています。」と話してくださいました。


■結婚は価値観を合わせないといけないものじゃない

パネルディスカッション後の質疑応答では、学生から「どのようにして結婚に踏み出せばいいのでしょうか。価値観が合わない人とは一緒にいても楽しくないのでは、と思ってしまい結婚に踏み出せません」と、質問がありました。

それに対して、Bさんは「恋愛は短距離走で、結婚は長距離・マラソンだと思う。至らないところや合わないところを理解しあって、お互いの苦手なところを補っていくのがパートナー。恋愛はうまくいったけど結婚はうまくいかないということもたくさんあると思うけれど、短所をいかに愛せるかが重要なのではないだろうか。ダメなところをちょっと可愛いと思ったら結婚に近いと思う。」と、結婚について前向きになる考え方を話してくれました。

また、Cさんは「私も考えてみるとパートナーと価値観は合わない。『どうしてそんなにパソコンにこだわるの?』『洋服にこだわるの?』など疑問に思うことがたくさんある。しかし、そこを否定し合わないっていうのが大切なことで、それができたら結婚できるのでは」とアドバイスをくれました。

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