一緒にいられる時間が少ないからこそ、
夫婦の時間を大切にするふたりTOKYO FUTARI

渡辺誠さん(40歳)(仮名) 美由紀さん(40歳)(仮名)

生活時間はすれ違い、休みが合うのは2か月に1度

 新聞の印刷工場で働く誠さんの勤務体制は、少々特殊です。夕方の18時半に出勤し、仮眠を挟みながら泊まり込みで4日目の朝まで働いて1日休み、さらに4日間働いて3連休というサイクルを繰り返しています。新聞は毎日発行されるので、土日も関係なく仕事があります。
 一方、妻の美由紀さんは、平日10時から18時までの営業事務の仕事を担っています。夫婦の生活時間がほとんど合わないので、家ではそれぞれがひとりで過ごすことがほとんど。在宅時間が重なっても、誠さんは勤務明けで眠っていることが多く、美由紀さんは起こさないようそっと出勤していくといいます。
 「夫婦ふたりの休日が合うのは2か月に1度ぐらい。ただ僕は昼まで寝ていることが多いので、一緒に過ごせるのは半日程度のことも」(誠さん)

 

ひとりの休日には趣味に没頭

 夫婦の時間が少なくて寂しそうにも見えますが、意外とそうでもない様子です。美由紀さんは10年以上続けている趣味のヒップホップダンスに夢中で、出演イベントが近づくと休日はリハーサルで埋まってしまうのだとか。
 交際当初、誠さんは、ダンスにのめりこむ美由紀さんを見て、二人の時間より趣味を優先しているように感じたといいます。しかし、実際にステージを躍動する美由紀さんの姿を目の当たりにし、美由紀さんが慕うダンスの先生とも話をしたことで、彼女の熱意やダンスの魅力に共感するようになりました。今では最大の理解者であり、ダンサーとしての美由紀さんの大ファン。イベントには休みを取ってステージに駆けつけるそうです。
 「ダンスは私のライフワークだから、楽しんでいる姿を夫が見てくれるのがうれしい。思い切り体を動かすと、仕事の疲れも吹き飛びます」(美由紀さん)
 一方、誠さんも、休日は趣味のグラフィックデザインに没頭しているそうです。知人に頼まれてイベントのチラシを作るのもお手のもの。夫婦それぞれが、ひとりの休日を豊かに過ごしています。

  

わずかな夫婦の時間を大切に、楽しみは年に1度の旅行

 ふたりの時間が少ないからこそ、一緒に過ごす時間にはたくさん話をするようにしています。その時の仕事や趣味、家事、気になっていることなどについて、たっぷりと報告し合っているそうです。
 「特に休みの前日は妻が帰宅する夜には家にいられるので、会って話せると思うとワクワクします。彼女は翌日仕事なのについ、遅くまで話し込んでしまって迷惑がられますが(笑)」(誠さん)
 年に1度は連続した休みを取って、ふたりで旅行に出かけています。これまでに伊豆や熱海、長野県、山口県など、豊かな自然を楽しめる場所を訪れました。美しい風景やおいしい食べ物を共に楽しみ、車好きの誠さんが運転する車中で積もる話をするのもかけがえのない時間です。次は海外に足を延ばそうと計画しているそうです。
 普段は社員食堂やコンビニの食事が多くなってしまう誠さん。「せめて家にいるときは手料理を食べてほしい」と美由紀さんは料理を頑張っています。しかし、誠さんは「作らないでいいよ」と制することも。
 「自分と違って妻は毎日ラッシュアワーに通勤していて、それだけでも疲れるでしょう。家ではゆっくり休んでほしいんです」(誠さん)
 一緒にいることが当たり前ではないからこそ、互いを思いやる気持ちは人一倍、強くなるのかもしれません。

ふたりのQ&A

Q
出会いは?
A
小中学校の同級生。卒業から20年近くたって、SNSで偶然つながった。
Q
初デートは?
A
ふたりの職場の中間地点である有楽町で落ち合って食事。思い出話に花が咲いた。
Q
結婚への道のりは?
A
駒沢公園で夫がプロポーズ。2年交際しても変わることなく優しい夫に、妻は結婚を決めた。
Q
家族構成は?
A
夫婦ふたり暮らし。
Q
家計と家事の分担は?
A
夫が家賃と車関連費、妻が光熱費や食費を負担。家事分担は決めず、できる方ができる時にやっている。
Q
休日の過ごし方・よく行く場所は?
A
夫婦一緒に過ごす休日には近所のスーパーに買い出しに行き、一緒に料理。ふたりの思い出の場所である有楽町に足を伸ばすことも。

他のコラムも読んでみる