自分自身を魅力的に伝える術についてFUTARI START GUIDE

結婚、家庭と仕事のバランスを計画したい女性から絶大な支持を受けている婚活コンサルタントの松尾知枝さんに連載形式でご紹介いただく第2回のテーマは「自分自身を魅力的に伝える術」です。読んだらすぐに使える婚活におけるコミュニケーションのポイントを松尾さんから解説いただきます。

自分自身を魅力的に伝える術について

大事なことはお互いが「理解し合う」こと

 私がよく受ける出会いの場に関する相談の1つとして「何を話したらいいのか分からない」と言う悩みがありますが、これはコミュニケーションの主たる目的を「自分の意見を伝える」ことだと思っているからではないでしょうか。

「コミュニケーション」の定義は『デジタル大辞泉』(小学館)によると、『情報の伝達、連絡、通信の意だけではなく、意思の疎通、心の通い合いという意でも使われる』となっています。つまり、コミュニケーションの真意は、自分のことを伝えるだけでなく、意思疎通を高め、お互いが「理解し合う」ことにあります。自分自身を魅力的に伝えたいと思うあまり、自分ばかり話してしまったり、相手を尊重しようと、相手にばかり話させてしまうのは、本当の意味でのコミュニケーションとは言えません。

では、お互いの意思疎通を高め、「理解し合う」ためにはどうすればよいでしょうか。

(1)相手の話をよく聞いて、相手の話題を掘り下げていく

コミュニケーションでの大切なポイントは、お互いが心地よく話せる環境の中で、自分のことを相手にどう理解してもらうかです。

なんとか自分のアピールポイントを話さなくてはと不安に思うのではなく、まずは、相手の話をしっかり聞き、自分との共通点や相違点をピックアップするようにすると、その中に自分の魅力や人柄を伝える話題を見つけることが出来ます。

〈使用例〉

共通点:私も〇〇さんと同じで、コーヒーが好きです。この近くにとてもおいしいコーヒーが飲めるカフェがあるのですが、行ったことありますか?
相違点:〇〇さんはサイクリングが好きなんですね、私はあまり自転車で遠くに出かけたことがないのですが、楽しそうなので今度行ってみたいです。どういう場所がおすすめですか?

相手が関心のある話題を自分と関連づけながら話を展開するため、一方的な印象にならず、なおかつ相手を退屈させてしまうリスクが減り、「この人とは会話が弾むから、次もまた会いたい」と思ってもらえる可能性も高まります。

(2)しっかりリアクションする

会話が弾むために必要なのは、コミュニケーションの中で相手のことを受け入れる姿勢を示し、相手の緊張した心をほぐすことです。

そのために簡単に実践できるのは相槌です。相手が話しやすいように相槌を打ち、相手のことを知りたいという意思表示をしてください。また、その際、うなずくだけではなく、感情を込めてリアクションするとより効果的です。

テレビに出演するタレントさんのリアクションなどをイメージしてもらえると分かりやすいのではないでしょうか。お茶の間にいる視聴者にも面白さが伝わるよう、言葉だけでなく表情、声のトーンや大きさ、姿勢などを駆使して、伝える工夫をしています。

適度なリアクションを取るために、まず、自分の話し方や表情を、鏡の前で練習したり、動画に撮ったりして、自己点検してみましょう。自分では「しっかり反応しているつもり」でも、表情が硬かったり、声が低すぎてつまらなそうに見えたりと、イメージ上の自分と画面上の自分の印象のギャップに驚くかもしれません。日頃から表情が硬いと自覚のある方は、自分ではちょっとやり過ぎかなと思うぐらいのオーバーリアクションが相手にやっと「伝わるちょうどいいレベル」かもしれません。

婚活がうまくいかない人のコミュニケーションの特徴

婚活において、気づかないうちに相手を不快な気持ちにさせるコミュニケーションをしているケースがあります。こちらは相手のことを考えて発言しているつもりでも、相手を不快にさせたり「この人は自分に興味を持っていない」という誤解をさせてしまっているかもしれません。今回は3つのパターンをご紹介します。

(1)何を考えているのかわからない「無味無臭パターン」

例)相手の質問に対して自分の意志が見えない回答
「ビールでいいです」「お店はどこでもいいです」
「嫌いなものは特にないので、なんでもいいです」

相手の意見を尊重したいという気持ちから、全てを相手に合わせるコミュニケーションの形が「無味無臭パターン」です。良かれと思っての行動かもしれませんが、「自分と一緒にいてもつまらないのかな」と相手に感じさせてしまう可能性があり、実は逆効果です。また、全ての判断を相手に任せっきりにしてしまうため、過度な負担感を与え、「一緒にいると疲れる」と感じさせてしまうかもしれません。

<克服法>

相手もあなたと同様に「あなたのことを知りたい」と思っています。このパターンに陥ってしまう人は、勇気を出して、自分のことを伝えてみてください。相手との距離がぐっと縮まっていくことでしょう。また、軽い自己開示をするのもいいでしょう。あえてちょっとした失敗やミスをした時の話をすると自然体な魅力を相手に感じてもらうことができます。

(2)必要以上に自分を下げる「自虐パターン」

例)「もう私、オバサンになっちゃったので」「もうアラフォーなので」
「全然カッコよくないので」「自分なんて、全然ダメです」

謙遜する気持ちから、自分を必要以上に下げてしまうコミュニケーションの形が「自虐パターン」です。相手は素敵な人と価値ある時間を過ごしたいと思っています。それなのに、必要以上に自らの価値を下げるようなことを言ってしまうことは、相手に残念な印象を与えてしまいマイナスです。

<克服法>

コンプレックスに感じているところが、逆にアピールポイントになるような伝え方を試してみてください。例えば、相手より年齢が上なのであれば「夜更かしすると疲れが抜けにくくなってしまいましたが、好奇心の強さは今の方がむしろあると思います」とか「歳とった分、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなりました」など、自分の価値を高めた伝え方が理想的です。その方が、ありのままのあなたの魅力が伝わるはずです。

(3)等身大の自分を隠してしまう「背伸びパターン」

例)「へぇ、そうなんですね」「あ、それ知ってます」「聞いたことあります」
「というか、正確にはこうですよね」

私への恋愛の相談で増えているのが、このパターンです。等身大の自分を見せて、嫌われたらどうしようと思う不安感から、人に弱みを見せられず、つい背伸びをしてしまうようです。しかし、何を聞いても知っているように返答をされると、相手には「隙がなく取っつきにくい」と言う印象を与え、距離が縮まらず、うち解けにくい状態に繋がります。

<克服法>

婚活で関係性を深めるために必要なのは「背伸びした偽りの自分」ではなく「等身大の自分」を伝えることです。もし会話の中でよく知らないことがあったら恥ずかしがらずに「それってどう言う意味ですか?もっと詳しく聞かせてください」と聞いてみましょう。きっと、相手も喜んで教えてくれるはずです。

理想のパートナーと出会うためには

婚活をしていると、相手からの評価や期待など、他者を強く意識しすぎるあまり、自分のことを後回しにしてしまいがちです。理想のパートナーと出会うためには、まず、結婚したい理由を明確にし、そのうえで、ありのままの自分を受け止め、そして現在の環境を変える勇気をもつことが必要だと私は考えています。自分自身が何を感じ、どんな欲求を持っているのかを考え、自分の価値観を十分に理解することが大切です。自分の価値観が把握できると、人生で大切にしたいことが明確になり、自分の価値観と合った相手と出会ったときに、将来を一緒に過ごすイメージを持ちやすくなると感じています。

(1)結婚したい理由を明確にする

あなたは、なぜ結婚したいのでしょうか。「適齢期だから」「親からプレッシャーを受けるため」と言った理由ももちろん意識するところだと思うのですが、大切なことは「なぜ(私は)結婚したいと思うのか」という自分自身が結婚したいと思う根本的な動機の部分です。結婚したいと思っていてもなぜ結婚したいのかが曖昧だとそのあとの行動に結びかなかったり、先延ばしの原因になったりするので「なぜ」を深掘りするのが大切です。

(2)ありのままの自分を受け止める

相手のことを受け入れるには、まず、良いところも悪いところも含め、色々な側面を持った自分をありのまま受け入れる「自己受容」が重要です。
そのために私がお薦めするのは、自分の短所や欠点、人に見せたくないと思っている部分を書き出し、それらを肯定的な表現に書き換えてみることです。そうすることで、自分がコンプレックスに感じている部分を知り、そんな自分のありのままを認め、受け入れられるようになります。
「自己受容」が出来ると、他者に対しても寛容に、つまり、自分と違うところを否定したり、自分の価値観を押し付けることなく、相手の考えや生き方を尊重することが出来るようになると言われています。その結果、気になる相手に対するコミュニケーション力も向上するでしょう。

(3)環境を変える勇気を持つ

結婚すると生活やそれに伴う考え方や感じ方、自由に使えるお金と時間、仕事とプライベートにおける力や時間配分など、少なからず「変化」があります。独身生活が快適で充実している人ほど、いずれは結婚したいと思っていても、今のこの生活を変えてまで結婚しなくてもいいかなと気持ちが揺らぎ、これからの生活が大きく変わることへの不安感を抱く傾向があるようです。そのような時は、漠然とした不安を解消するため、結婚した先輩夫婦に話を聞いたり、ライフセミナーに参加してみるなど、第三者の話や意見を聞き、結婚後の自分をイメージできる機会を意識的につくることをお薦めします。

(4)相手の価値観を深く知る

相手の価値観を知るために、出会ってすぐ「結婚したらどんな家庭を築きたいですか」と聞くことは、相手も構えてしまうため好ましくありません。まずは、「最近読んだ中で一番面白かった本は何ですか?」「休みは何をしていますか?」など、さりげなく相手の価値観を知ることのできる質問をしてみるのも1つの方法です。また、相手の身近な存在(両親や親友など)への接し方や会話の内容は、相手の価値観を知るきっかけとなることも多いでしょう。

結婚は長期的に続く関係性です。年収や容姿だけでなく、ずっと一緒に過ごすことを踏まえて、相手との結婚生活をイメージしてみましょう。私のセミナーに参加した、結婚して良好な家庭を築いている夫婦に、結婚の決め手を聞くと「一緒にいて心地良かった」「リラックスできた」「素の自分を見せても受け入れてくれたから」と言う回答が多くあります。

私にとっての結婚とは

『第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)』にもあるように、独身でいることの理由の一つに「自由を失いたくない」というものがあります。御多分にもれず、私も全てのリソースを自由に自分だけに使えることの気楽さを手放したいと思えなかったうちの一人でした。しかし全てのことが自由であるということは何か問題が起きてしまった時は全てのことを自分で処理し、責任を負い、その時に感じる精神的な負担も抱え込むということでもあります。

結婚してよかったと思うのは、二人の間に起きる様々な出来事を「分かち合える」ことです。例えば、明かりの灯った家に帰宅して「ただいま」「おかえり」と言い合う時、お味噌汁のような、どこかほっとする温かみを感じます。また、互いに助けたり、助けてもらう日々の暮らしには、大切な人のために貢献できた時に得られる喜びや充実感があります。この感覚は、数字や写真などで可視化しづらいですが、ふとした瞬間にしみじみと感じられる幸せの一つだと言えるでしょう。

これらは、私が結婚生活の中で感じていることですが、一人ひとりの結婚に対する考え方や捉え方は多種多様だからこそ、あなたにとっての結婚生活や幸せについて考えるきっかけになると嬉しいです。

松尾 知枝(まつお ちえ)/1980年生まれ/婚活コンサルタント
大学卒業後、客室乗務員を経て、2011年、女性向けのライフデザイン構築スクール「Precious 美女塾」を開設。著書に「3か月でベストパートナーと結婚する方法」 (かんき出版)「3 年以内に成功する男、消える男」 (フォレスト出版)など。

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