結婚を望む人にとって、出会いの場のひとつとなっている婚活イベント。パーティー形式の出会いイベントはいわゆる「婚活」という言葉が一般的になる前から盛んに実施されていましたが、だんだんと「街コン」といった、よりカジュアルなイベントが出てきました。街コンは特定の街や地域で複数の飲食店などを回遊しながら交流していくイベントで、飲み会や合コンのような感覚で気軽に参加できる点が人気を呼んでいます。少しお酒が入った方が話しやすいという人や、会話を重視する人に向いているかもしれません。
さらに最近は、特定のテーマを持つイベントも増えています。たとえば謎解きゲームや料理、動物園や水族館などの散策を一緒に楽しんだり、アニメや音楽など共通する趣味を持つ人が集まって交流を深める「趣味コン」が人気を集めています。共通の話題があるので、出会いイベントにありがちな、「何を話せばいいかわからない」といったことが少なく、自然に会話が生まれて距離も縮まりやすいとされます。また、「同じ趣味を持つ人と出会いたい」という希望を持つ人にもピッタリです。
また、一緒に体を動かす「スポーツコン」も人気です。フットサルやランニング、ゴルフなどさまざまなスポーツコンが開催されています。最近では、東京オリンピックで話題のボルダリングを一緒に楽しむものもあります。
1人ではできないスポーツでもサークル感覚で参加でき、チームスポーツならコミュニケーションを楽しみながらさわやかな汗をかけるところが人気の秘密のようです。「すごい試合だったね」「疲れたね」といった共感から自然な交流が生まれやすいうえ、スポーツでは性格が表れやすいので相性や好みのタイプかどうか判断しやすいともいわれます。また、初心者でも、上手な人から教えてもらうことで、関係性を作ることもできます。
一般的な婚活パーティーから街コン、趣味コンやスポーツコンまで、さまざまな形のイベントがありますが、どれを選ぶのがベストかは、その人の目的や性格によっても異なります。まずは自分自身が楽しめそうなイベントや、自分らしくいられる場を選ぶことが重要です。
また一度のイベント参加で運命の人を見つけようと気負いすぎないほうがよさそうです。友人の紹介などで結ばれたカップルでも、それが生涯でただ一度の紹介だったという人は少ないのではないでしょうか。婚活イベントに参加した人からは、同性の友達や異業種の友人と出会えて視野が広がったという声も多く聞かれます。そこから新たな交友関係が広がり、次の出会いにつながる可能性も。まずはどんなイベントが向いているか試してみる感覚で、気軽に参加してみるのもよさそうです。
ここでは、実際に開催されている婚活イベントを取材した様子をご紹介します。
取材当日は、男性11名、女性7名が参加。受付後スポーツウェアに着替え、自己PR用のプロフィールシートを記入。まず初めにこの自己PRシートをお互いに交換しながら、5分間ずつ、異性全員との自己紹介が進みます。名前や年齢、職業、趣味など様々な項目が並んでいるので、共通の話題が見つけやすく、同じ出身地だとわかって会話が盛り上がる人もいました。
自己紹介が終わったら、インストラクターからボルダリングの注意事項やレクチャーを受け、男性2~3名、女性1~2名のチームに分かれます。男女のチームがシャッフルをしながら1時間半程度、ボルダリング体験タイムに。参加男性の中には経験者もいて、ボルダリングが初めての女性に教えている姿も。
イベントの最後には、婚活イベントのハイライトであるマッチングタイムが。運営会社によってマッチングの方法はさまざまですが、今回はボルダリング体験を通して気になった人の名前を2名書き、お互いの名前を記入していた者同士がカップル成立というシステム。全員の前で大々的に発表される形ではなく、各自に紙を渡してこっそり知らせる流れで、マッチングした人同士はイベント終了後に声をかけあって連絡先を交換したり、そのまま二人一緒にランチを食べに行ったりするなど、二次会に進む人も多く見受けられました。また、印象的だったのは、男女の出会いだけでなく、同じ趣味をもった同性同士で仲良くなる人も多かったこと。特にスポーツ系の婚活イベントは、異性との出会いはもちろんのこと、交友の輪を広げる機会にもなるようです。
ウォーキング婚活と言っても、会場はさまざま。たとえば動物園、水族館などで開催される場合もあれば、浅草などの観光名所を訪れるものも。今回伺ったのは、休日の夜に開催されたイルミネーションを巡るウォーキング婚活です。
男性5名、女性4名が集合場所に集まり、まずは一人ずつ参加者全員に向けて簡単な自己紹介からスタート。その後、男性1列、女性1列の2列で並び、目的地に歩いて向かいながら、二人で会話する時間が設けられます。ある程度の時間になったら一人ずつずれていき、全員とまんべんなく話すことができます。 目的地についたら、グループごとに30分程度の自由行動、イルミネーションを楽しみます。
このウォーキング婚活イベントでは、最後に落ち着いて座り、1対1で話す機会が設けられていました。その際、イベント担当者から「連絡先交換タイムです」と促されるのが特徴。このような時間を設けることで、声をかけるのが苦手な人でも異性の参加者全員と連絡先が交換できます。担当者は、「次に会うきっかけにしてほしい」と話します。積極的にコミュニケーションをとることが苦手な人でも、出会いのチャンスやきっかけが生まれやすい工夫がなされているイベントでした。